『ジャック・ローラー』少年自身の物語(Shaw 1930=1990: 39-41)

 近所の路地裏で遊ぶようになり、初めて「パイレーツ」という年上グループのことを知った。俺の一番上の兄貴がそのグループに入っていたから、自然と連中とつるむようになった。(中略)

 パイレーツの仲間になって最初に覚えたのはかっぱらいだった。連中は、よくかっぱらいやひったくりのことをはなし、毎晩のように「仕事」(jobs)をしに出かけた。兄貴の仲間と一緒に初めてかっぱらいをしたのは8歳の時だった。最初はがらくた置き場で盗みをしたが、それからちょくちょく列車を狙ってつまらないものを盗んだ。店で盗むこともあったよ。店に出かけていっては、一人がなにかを買うふりをして店員とやりとりをし、そのスキに別のヤツがキャンデーや煙草をくすねて走って逃げた。俺たちは毎日そんなことをした。(中略)

 店や家に盗みに入るようになったのは、俺が10歳の頃だ。ドアや窓をこじ開けてその中に入り、盗みをした。俺はいつも外に残って見張りをした。家の中に入って盗みをやるのは年上の連中だ。連中は、店や家に入るためのありとあらゆる技、たとえば鍵の開け方とか、ドアのこじ開け方、窓ガラスの割り方、合い鍵の使い方などを教えてくれた。俺たちの掟はすべてを胸にしまって誰にも話さないことだ。その掟を破れば、殴り倒され、あざけられる。


[1] Shaw, Clifford Robe, 1930, The Jack‐Roller: a Delinquent Boy’s Own Story, Chicago: University of Chicago Press. (玉井眞理子・池田寛訳,1998,『ジャック・ローラー——ある非行少年自身の物語』東洋館出版社.)

[2] ショウのモノグラフについて詳しく知りたい人は、玉井眞理子,2000,「非行文化の諸相——クリフォードR・ショウのモノグラフから『大阪大学教育学年報』5: 185-202.(https://ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/7275/)参照のこと