[1] 松本康,2007,「社会調査で何がわかるか」森岡清志編『ガイドブック社会調査 第2版』日本評論社,51-66.
- デュルケムの問題関心……アノミー状態(規範が崩壊した状態)。なかでも自殺は個人的な問題によって起こるものとされているが、自殺には社会的な影響があるのではないか? そこでデュルケムは集団の統合度(集団のまとまり度合い)に着目。
- 理論的な説明……集団の統合度が低いと、個人の不安や緊張が、集団のなかで解消されない。個人の不安や緊張は自殺の原因となる。集団の統合度が低いと、その集団の自殺率は高くなる。反対に、集団の統合度が高いと、個人が不安や緊張にさらされても、その集団によって支えられているので自殺に至ることは少ない。
- 仮説……「集団の統合度が低いと自殺率が高くなる」。これをどのように検証すればよいか
- 理論仮説から作業仮説へ変換。カトリックとプロテスタントという2つの「宗教集団」に注目。プロテスタントはカトリックより自殺率が高いという作業仮説を立てる。
- カトリックは教会を中心に集団が固まっており集団の統合度が高い。プロテスタントでは個人が聖書を自由に解釈してよいとされているため、個人が神と直接向き合う個人主義的な宗派であり、集団の統合度が低い。
→ヨーロッパ各地の自殺統計を収集・分析し、プロテスタントはカトリックより自殺率が高いことを説明