日本国憲法と社会保障

日本国憲法第25条「生存権」(金子 2017)

  • すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。(第1項)
  • 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。(第2項)
  • 「国に立法、予算を通じて生存権を実現すべき法的義務を課している」、生活保護制度
  • 1957年当時、結核入院患者だった朝日茂さんが提起した朝日訴訟。生活保護費だけでは生活できないと裁判を起こした事例。朝日訴訟最高裁判決。

日本国憲法第13条「幸福追求権」(金子 2017)

  • すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他国政の上で、最大の尊重を必要とする。
  • 他にも、法の下の平等(第14条)、精神的自由権(第19、20、21条)、学習権(第23、21条)、労働権(第27条)、奴隷的拘束からの自由(第18条)等など社会権を無条件で保障する国家の役割が注目されている。世界人権宣言の影響

社会保障とは(春田ら編 2023)

  • 誰もが遭遇する可能性がある「生活上の困りごと」に対し、国家の責任で、金銭やサービスの提供などを通じて、国民の生活を守るしくみ。
  • 「生活上の困りごと」とは、「疾病、負傷、分娩、廃疾(=障害)、死亡、老齢、失業、多子その他」。具体的には、病気やケガをしたり、障害を負ったり、一家の支え手が死んだり、年を取ったり失業して働けなくなったりなど=生活事故、社会的事故。こういった困りごとは、「働けなくなる”お金が入ってこなくなる」(あるいは、その可能性が高くなる)ということに直結する。
  • 狭義には社会保険(医療保険、年金保険など)、公的保護(生活保護)、社会福祉(児童福祉、障害者福祉など)、公衆衛生(医療サービスなど)、広義には、住宅対策、雇用対策など

金子充,2017,『入門貧困論——ささえあう/たすけあう社会をつくるために』明石書店.

春田吉備彦・奥貫妃文・河合塁・今野晴貴編,2023,『生きのびるための社会保障入門』堀之内出版.