ダブルバーレル質問をしてはならないのも、回答者によって異なる意味を読み取るからである。実際「この靴の価格や機能に満足していますか」という質問をしたとしても、たいていの回答者は何らかの回答を返してくれる。ただ、その回答を考えるときに、価格と機能のどちらか一方にでも満足していれば「満足」と考える回答者もいれば、両方とも満足していなければ「満足」にはならないと考える回答者もいたり、両者の平均で考える回答者がいたりと、質問文から読み取る意味にばらつきが生じてしまうことが問題なのである。
上のダブルバーレルは極端な例であるが、実際にはもう少しわかりにくい形で一つ以上の質問が一つの質問文の中に混在していることが多い、例えば。「地球環境の保護のために、人々はもっと節電をすべきだと思いますか」という質問文は、地球環境の保護は大切に思っているはずだ、という前提を含んだ質問になっている。しかし、すべての回答者が同じようにそう考えていると仮定することはできない。そのため、回答者がこの質問に回答するためには「地球環境の保護が大切か」「節電をすべきか」「地球環境の保護と節電の間に関連はあるか」という3つの事柄を同時に考えなければならない。どこに重点を置いて回答するかは、回答者によって違ってくるだろう。誰にとっても同じ意味に読まれるためには、一つの質問で測定する事柄を十分に単純化しなければならない。複数の質問に分解して、分析時にそれらの回答を組み合わせる工夫が求められる。
保田時男,2014,「ワーディング」社会調査協会編『社会調査事典』丸善出版,196-203.