- 非行サブカルチャーとは非行少年だけが持っている独特の考え方や行動様式の総体。コーエンは、下流階層の非行少年たちは、富の獲得ではなく、非行集団内部での地位の獲得のために犯罪に走ると主張する。犯罪が仲間内での地位の向上につながる。
- 学校は、成績を上げること、暴力を抑えること、計画的に時間を使うことなど、中流階層の規範によって動いている。それに対して下流階層出身の少年は①中流階層の規範を身につけようと努力する、②下流階層の規範を保持しつつも、中流階層の価値を拒まない、③中流階層の価値に反発して、これを拒絶する態度をとる
- ③のふるまいをする少年たちは、自分たちが学校において、社会において成功できないことを悟り、緊張状態にさらされる。同様の境遇にいる少年はやがて自然発生的に集団を形成し、新しい価値は強化されていく。自分たちの得にならないことをあえて行なったり、目的もなく破壊を行なったり、既成の秩序や権威を否定したりすることで、緊張状態から逃れようとする。中流階層が中心の社会を否定して新しい価値を構築しようとする(これが非行サブカルチャー)。
岡邊健,2014,「緊張が犯罪を生む?」岡邊健編『犯罪・非行の社会学——常識をとらえなおす視座』有斐閣