東京オリンピック基本構想懇談会「東京オリンピックの実現に向けて」2006年2月
大きな可能性と潜在力を持ちながら世界に存在感を示しえないこの国を、前回の日本開催からおよそ半世紀振りとなるオリンピックによって立ち直らせ、世界にその底力を示す。これが、報告書をまとめるに当たっての我々の基本認識である(1ページ)。
国民共通の大きな目標を失った日本人は、卓越した技術力や感性を持ちながら、自らのポテンシャルを過小に評価し、ことさらに萎縮してしまっている。こうした状況を打破するためにも、今こそオリンピックを契機に、日本再浮上に向けた第一歩を踏み出すときである。オリンピックは、スポーツを通じて世界の平和に貢献する、世界最大のスポーツ・文化の祭典である。オリンピック開催は、次の世代に夢を与え、国民の間に一体感と高揚感を醸し出す。日本の高い技術力や日本人のフェアプレイの精神、無類のホスピタリティなどを組み合わせることで、オリンピックの新しいモデルを、さらには大都市の新しいあり方を提示することができる。オリンピックはまさに、成熟都市東京が国際的な責任を果たし、世界に貢献する「志の高い国」=日本の存在を示す絶好の機会である。21世紀の今日、我々は、都市の盛衰が国家の命運を大きく左右する時代に生きている。都市の力こそ、まさに国力である。この国において、国家を牽引し日本の存在を象徴する都市は、東京である。こうした観点に立ち、オリンピック開催を契機として、東京の再生、ひいては日本再生を成し遂げる必要がある」(3ページ)。
514bce5b0f2cf0b61e1e32b89d50b50f東京都「2016年東京オリンピック基本方針」2006年5月
「オリンピックを一過性のイベントに終わらせることなく、これを梃子として東京の自己変革をさらに進め、日本を変える大きな動きにつなげていく必要がある。今後、これまでの先駆的な取組みをオリンピックに向けて一層推進し、東京が世界の大都市の代表として率先して取り組んでいく姿勢を明らかにしていく」(7ページ)。
「技術の芽を生み出す力とともに、技術を現実社会に適応させる能力に秀でているのが日本人である。環境や省エネ技術から最先端医療、ロボット、ユビキタスに到る幅広い分野で日本の技が世界をリードしている。 日本が世界に誇るこうした最先端技術を、日本文化に元来内在している独特の感性や美意識、ものづくりの伝統や遊びごころと融合させることで、新しい価値を創出することができる。技術と人材が集積した東京の優位性を発揮して、その成果をオリンピックの大会運営に止まらず、東京に住み訪れるすべての人が享受できるようにするとともに、東アジアひいては世界に波及させていく」(9ページ)。
cd32d9aad75642ab30492bc6da5f0e9f他に……
東京商工会議所「第31回オリンピック競技大会の東京招致を支持する」2006年7月13日 https://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=4689
東京都教育委員会「『東京都オリンピック・パラリンピック教育』実施方針」2016年1月
学術、文化、経済など様々な分野でグローバル化が進展している中、東京が、将来にわたり発展していくためには、多様な文化を受け入れ、東京に暮らす全ての人々が分け隔てなく自己の能力を発揮できる社会を作り上げていく必要がある。これはまた、年齢、国籍、文化の違いや障害の有無などに関わらず、あらゆる人々が互いの人権を尊重し合い、共に力を合わせて生活する共生社会を実現していくことでもある。
こうした時代を生きるこれからの子供たちには、自己を確立しつつ、他者を受容し、多様な価値観を持つ人々と協力・協働しながら課題を解決する力が求められる。また、多くの外国人と交流する機会が増えていく中、臆せず積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度や日本人としてのアイデンティティをしっかり持ち、豊かな国際感覚を醸成する必要もある。(中略)
これまで、オリンピック・パラリンピックは、開催都市と国に大きな社会変革をもたらし、とりわけ若者や子供たちを鼓舞し、勇気と感動を与えてきた。オリンピック憲章では、オリンピズムは、肉体と意志と精神の全ての資質を高め、バランスよく結合させる生き方の哲学であり、スポーツを文化、教育と融合させ、生き方の創造を探求するものであるとしている。そして、その目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会を奨励することを目指し、スポーツを人類の調和のとれた発展に役立てることにある。
これらは、豊かな情操と道徳心、自主・自律の精神、公共の精神、伝統や文化を尊重し、我が国と郷土を愛するとともに、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うことなどを定める教育基本法の「教育の目標」や学習指導要領の理念にも相通ずるものである。
このため、東京都教育委員会は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下「東京2020大会」という)を、子供たちの人生にとってまたとない重要な機会と捉え、「東京都オリンピック・パラリンピック教育」(以下「本教育」という)を全校で展開することとする。これにより、東京都の児童・生徒の良いところを更に伸ばし、弱みを克服するための取組を確実に推進し、国際社会に貢献し、東京、そして日本の更なる発展の担い手となる人材を育成していくとともに、東京2020大会の経験を通じ、その後の人生の糧となるような掛け替えのないレガシーを子供たち一人一人の心と体に残していく(1ページ)。
5ec16a2e175251e9ea57c92db4e4b805YouTubeチャンネル BBC News Japan「【東京五輪】 なるべく見えないよう……都心で排除されるホームレスの人々」 https://youtu.be/dMYADaoNpFk?si=R9tDpDe27qCnx7Ek