ダブルコンティンジェンシー(浜 2019)

  • 相互行為において、自己と他者はどちらも自分の欲求充足をめざして行為の選択を行うが、このとき自己の選択は他者の選択に依存しており、同時に他者の選択もまた自己の選択に依存しているような状態のこと。どちらにとっても望ましくない帰結(衝突)を避けて、双方の欲求充足をもたらす安定した相互行為はどのようにして達成されるのか。
  • 役割期待の相補性:相互行為が安定するための第1の条件(自転車運転におけるすれ違いの例)
私は「相手がハンドルを左に切るだろう」と思っている→相手の出方に対する期待がある
相手は「私がハンドルを左に切るだろう」と思っているだろう→相手がこちらに対してもっている期待についての期待がある
相手が「私がハンドルを左に切るだろう」と思っているなら、相手はハンドルを左に切るはず。私もハンドルを左に切ればうまくすれ違えるだろう→相手がもっている期待についての期待がこちらの選択に影響を与える

→うまくすれ違えたとき=自己と他者の間で価値基準が共有されているとき。

役割期待の相補性と制度化(浜 2019)

  • 役割期待の相補性を強化する制度化:同じ価値基準が共有されていれば、役割期待は規範的なものとなり、こちらが相手の役割期待に沿うような選択をすれば(同調)、相手もこちらの欲求充足にとって有利な反応をする。こちらが相手の役割期待に背く選択をすれば(逸脱)、相手もこちらの欲求充足にとって不利な反応をするだろう(サンクション)。役割期待への同調と逸脱に対応した正負のサンクションをとおして、役割期待の相補性は強化され、相互行為はいっそう安定したものになっていく。
  • 役割期待を内面化する社会化:この価値基準が自己にとっても他者にとってもパーソナリティの一部として内面化されていれば、相互行為はさらに安定する(制度的統合)。パーソンズは社会における規範を内面化するプロセス(社会化)が、逸脱への傾向を未然に摘みとる予防的なメカニズムとなっているとした。
  • 役割期待の相補性による役割のパターンが社会構造。制度化と社会化によって役割期待を内面化し、社会構造が安定していれば、自転車に乗っている私と向こう側からやってくる相手がぶつかる可能性は回避される(ホッブズのいう自然状態=万人の万人による闘争は回避される)。