ポストモダニズムは複合的で論争的な観念である。哲学や社会理論の発展と同様、文学や建築学、芸術のトレンドと結びついている。これは都市において、建造環境の中や消費を組織化する中で、社会生活の行為や個人のアイデンティティーとの交渉の中で表現される文化的な状況として存在する。建築学的には、ポストモダニズムは、フランク・ロイド・ライト Frank Lloyd Wright、コルビュジェ Corbusier、ミース・ファンデルローエ Mies Van Der Rohe の業績に関係したモダンでインターナショナルなスタイルから、そしてコンクリート壁の摩天楼とアパート団地の単調な灰色に典型化される、近代(モダン)から脱却したシフトであると表現されている。そのかわりにポストモダン建築は、形と色、テクスチャーの多元性を採用する。それはシンボリズムと装飾化への回帰を必要とする。そしてそれを証明するものは、過去の建築形態を自由に結合してしまう折衷主義とメドレー的制作の中に見出せよう。ポストモダンの都市景観は、地域の伝統、歴史への言及、土着性の示唆といったもののコラージュである。チャールズ・ジェンクス Charles Jenks とロバート・ベンチュリ Robert Venturi の研究で要約されたその目的とは、社会的にも文化的にもレレバントな環境を作り、あらゆる趣向に応じ、現代の都市生活の多元性をとらえることであった(Relph 1987を参照のこと) 。ポストモダンの建築物は現在では都市の中心部の景観を支配しており(サンフランシスコのダウンタウンはもっとも広く占有されている例である)、ポストモダンのデザインは住宅建設産業を鼓吹し、ポストモダンの建設環境は近隣やコミュニティ計画の成功した証となっている。しかし、ポストモダニズムの都市的インパクトは建築に限定されない。ジェームソン(1984)はポストモダニズムを都市的形態の生産とともに都市的な財やサービスの変容としても特徴づけた。
Smith, Susan J., 1994, “Urban geography in a changing world,” Derek Gregory, Ron Martin and Graham Smith eds., Human Geography: Society, Space and Social Science, 19, 232-51. (水内俊雄訳,1996,「変動する世界における都市地理学」『空間・社会・地理思想』1,126-137.)pp.133-4