寄せ場の労働者——I氏の流動(原口 2016)
I氏は、1951年、岡山県山間部の農家に生まれた。4人兄弟の末っ子であった。小さな農家の生活は厳しかった。家族の総出で、米や煙草、桑を育てた。しかし、それらの収入だけでは、とて…
続きを読む東京における野宿生活(松本 2020)
①野宿場所確保のための頻繁な移動 移動型の野宿者は、住む場所の確保のために、就寝するまでは頻繁に動かざるを得ない。移動には体力消耗がつきもので、自分の体力を消耗しないよう…
続きを読むいっちゃんのアルミ缶集めの一日(山口 2008)
図6-1は1994年段階での都内のアルミ缶の流通ルートの概要を示している。ルートは、まず一般消費者から出された缶は、自治体によって資源ゴミとして分別回収および拠点回収さ…
続きを読むあつしさんのケースから(山口 2020)
あつしさんは1960年代に関東圏で生まれた。中学校卒業後、大手菓子製造工場で3年ほどアルバイトをしたのち、飲食業を転々とする。「家出ぐせ」があったことや家族と折り合いも悪かった…
続きを読む生きるための「仕事」についての野宿者の語り(西澤 2019: 252-3)
「缶は集めてる。食うためにね。夜廻る。(缶ゴミが)出る日があるからさ。今うるさいから、持ってっちゃだめだなんだかんだ言ってよお、だから、見つからないようにそーっとやってくんだけ…
続きを読む野宿者は他の野宿者をどのようにみなしているか(西澤 2019: 206-7)
岩田は、野宿者調査で得た次のような知見を述べてもいる。(ホームレスへの)「インタビューの中で強い印象を受けたことの一つに、「俺」「(他のホームレスとしての)あいつら」「世間」と…
続きを読む「認定NPO法人自立生活サポートセンターもやい」の事業(結城 2018)
認定NPO法人自立生活サポートセンターもやいは「日本の貧困問題を社会的に解決する」ことをミッションとし、入居支援事業、生活相談、支援事業、交流事業、広報啓発事業の4つの事業を行…
続きを読む「もやい」の生活相談(結城 2018: 25-6)
生活相談・支援事業では毎週火曜日に対面での相談、火曜日と金曜日に電話相談を実施している。生活相談、支援事業はもやいの有給スタッフ(コーディネーター)とボランティアによって運営さ…
続きを読む伴走という思想の一つ「伴走は関係――関係は物語」(奥田 2014: 49-51)
支援やケアを考えるとき、「支援を行う」「支援を受ける」「ケアをする」「ケアをしてもらう」と表現される。これは支援、とくにケアを「行為」あるいは「物」「知識」としてとらえているこ…
続きを読む劣等処遇としての生活保障(丸山 2021: 43-4)
生活を保障するための福祉国家の制度は、保険と扶助とに大きく分けられる。人は基本的に働くことが期待されているが、なんらかの事情でそれがかなわないとき、こうした制度が生活を保障する…
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