「もやい」の生活相談(結城 2018: 25-6)

 生活相談・支援事業では毎週火曜日に対面での相談、火曜日と金曜日に電話相談を実施している。生活相談、支援事業はもやいの有給スタッフ(コーディネーター)とボランティアによって運営されている。もやい設立当初は全員がボランティアで、そのとき相談に入れる人が相談を受けていたが、2006年に一部が有給スタッフになって以降はボランティアとコーディネーターで役割が分かれ、後述するようなコーディネーターによるチェックの仕組みも徐々に構築されてきた。

 現在、実際の相談ではボランティアが主軸となるような体制をとっており、この点がもやいの生活相談の特色となっている。具体的には、生活相談は次のような流れで進んでいく。相談者がもやいを訪れたとき、受付で簡単なニーズの把握をしたうえで、誰が相談を受けるのがよいのかコーディネーターが判断する。実際の相談には原則として2人一組でボランティアが入るが、経験と知識が豊富で一定の相談技術を有している人が必ず1人は入る。ボランティアをはじめたばかりの人には、こういったベテランの人の相談の様子を観察することからはじめてもらう。相談を受けていて判断に迷ったりわからないことがあったりしたときには、ボランティアはコーディネーターと意見を交換しながら相談を進め、相談を終えるときには必ずコーディネーターが相談者への対応に不足や問題点がないかチェックする。相談者が生活保護等の制度利用の申請を行う場合には、面談の後、もしくは後日ボランティアが申請の同行をすることもある。このように相談活動は原則としてボランティアが担い、コーディネーターが適宜ボランティアからの相談を受けたり、もやいとしての判断の責任を引き受けるという体制で行われている。

 もやいで活動するボランティアは様々なバックグラウンドをもっている。相談援助に関する仕事をしてきた人もいれば、これまでまったく関係ない仕事をしてきた人もいるし、学生もボランティアとして参加している。もやいでボランティアをするには、セミナーとオリエンテーションに参加する必要があるが、逆に言、えば、それを経れば基本的に誰でも参加できる。このような参加へのハードルの低さはもやいでのボランティアの特徴であるが、このような特徴はもやいがそもそも専門的知識をもつアマチュアー―筆者自身もそうである――の集団として活動してきた経緯に由来するところがある。また、ボランティアのなかには他の団体や個人で炊き出しやアウトリーチなどの活動を行っている人もおり、そこで出会った方が実際にもやいに相談に来ることもある。

 最後に、生活相談で重視されていることを1つ挙げるならば、それは相談者の意思にもとづいて相談活動を行うということである。相談者のニーズに合わせて相談を行うことはもちろんだが、ともすれば悪しきパターナリズムに陥りかねない支援の場においては、相談者を管理したり束縛したりすることがないように常に気をつけなくてはならない。現在、もやいでは相談に来て生活保護などの公的制度を利用した方に対して、その後の経過を確認するなどのアフターフォローを行っているが、これは、たとえば生活保護の申請をしたあとになって不利益となる扱いを受けるケースがあることからも――少なくとも「支援」をする側の観点からは――、必要な対応である。また、障害や病気によって、独りでできることが限られている人がおり、相談以上のなんらかの手助けが必要な人がいることも事実である。しかしながら、これらのような働きかけ自体、相談者にとっての負担やプレッシャーにもつながりかねない側面もある。相談に来た方にとって足枷とならないような「つながり」のあり方を模索すること、これがもやいの生活相談が常に向き合わなくてはならない課題の一つである。


結城翼,2018,「生活相談とは」丸山里美編『貧困問題の新地平――もやいの相談活動の軌跡』旬報社,25-6.

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