「認定NPO法人自立生活サポートセンターもやい」の事業(結城 2018)

 認定NPO法人自立生活サポートセンターもやいは「日本の貧困問題を社会的に解決する」ことをミッションとし、入居支援事業、生活相談、支援事業、交流事業、広報啓発事業の4つの事業を行っている。このコラムでは、これらの事業について紹介したい。

 もやいはもともと狭義のホームレス・つまり野宿生活、小屋生活をしている人びとに対する支援活動のなかから生まれた。もやいの活動の出発点はそのような人びとの連帯保証人の引き受けであり、これは今でも入居支援事業の柱の一つとなっている。2017年で、活動を始めてから17年目となるが、もやいではこれまでに延べ2500人の連帯保証人と450人の緊急連絡先を引き受けている。もっとも、最近では保証会社が増えてきたため、もやいが連帯保証人になるのではなく、保証会社を利用する際に必要な緊急連絡先をもやいで引き受けるというケースが増えてきている。連帯保証および緊急連絡先を提供する際には、「もやい結びの会」という互助会に入り、会費(2400円/2年)を払うことを条件としているが、これはもやいという団体が一方的に「支援」をするのではなく、もやいを介した会員同士の互助の仕組みとして連帯保証や緊急連絡先を位置づけているためである。

 もやいでは連帯保証人の引き受けをしているなかで、当事者の相談を受ける機会があった。そのようななかで相談体制を整備し、生活相談・支援事業が始まった。当初は自立支援事業を利用し、その後アパートに移る人が相談者の中心であったが、来る者を拒まないスタンスをとっていることにより、多様な層の人びとがもやいに相談に訪れている。現在は生活相談が相談支援活動の窓口となり、必要に応じて他の支援団体や入居支援事業・交流事業へと橋渡しをしている。

 もやいは経済的な貧困だけでなく、つながりの貧困を課題ととらえて活動をしている。生活相談や入居支援が相談者と公的支援やもやいを含む支援団体とのつながりを形成するものであるとすれば、交流事業では相談に来た人びと同士のつながりを形成する場と言ってもよいだろう。生活困窮状態にいたる人びとは多くの場合、様々な「つながり」を断ち切られてしまっている。もやいの交流事業はそのような人びとに自らの居場所を作る機会を提供する。「サロンド・カフェこもれび」(以下、「サロン」)は、地域住民も含めて誰でも来ることができる場としてもやいのスタッフ・ボランティア・利用者によって運営されている。

 しかし、サロンは誰でも来れるがゆえに——たとえば男性からのDVや性被害の経験があるなどして居づらさを感じる人びともいた。このような事情から、交流事業ではサロンだけでなくもっぱら女性向けの「グリーン・ネックレス」や若者向けの「ランタンべアラこもれび」という場も用意されている。

 最後に、もやいでは広報、啓発事業にも多くの資源を割いている。もやいは活動資金の大半を個人からの寄付でまかなっているため、市民社会に対して広く自らの活動を発信していく必要がある。また、先述の「日本の貧困問題を社会的に解決する」というミッションを達成するためにも、社会への情報の発信は不可欠なものである。具体的には、団体の顔であるホームページ等の整備はもちろん、マスメディアやSNSを通じた言論の発信だけでなく、各種講座やセミナーを日本各地で開催するなどして、貧困問題についての基本的な知識を広めることも広報・啓発事業の一環である。さらに、様々な政党に対してロビー活動や政策提言を行っている。広報・啓発事業は上記の3事業を通して現場で得られた知見を広く社会に伝え、政治過程に反映させるというもやいの役割の中枢を担っている。


[1] https://www.npomoyai.or.jp/

[2] 結城翼,2018,「もやいの事業」丸山里美編『貧困問題の新地平——もやいの相談活動の軌跡』旬報社,23-4.(結城は認定特定非営利活動法人自立生活サポートセンター・もやい生活相談コーディネーター)

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