コンボイ・モデル(浅川 2014: 172)


浅川達人,2014,「『孤独な高齢者』という思い込み――高齢者の社会関係」船津衛・山田真茂留・浅川達人編『21世紀社会とは何か――「現代社会学」入門』恒星社厚生閣,167-79.※一部中略、および改変

 コンボイは個人を中心とする同心円として書き表すことができる。中心からの距離は親密さと重要さの度合いを表し、個人に一番近い内側の円には、全人的な付き合いをする家族や一部の親友、個人から遠いところには、職務や役割のうえでだけ付き合う他者が位置する。内側の円に位置する他者との関係は、その人が生きているかぎり生涯にわたって続くのが普通であるが、外側の円にある他者との関係は、職務や役割が変われば半ば自動的に消滅する。そのため、内側の円の他者はあまり変化しないが、外側の円の他者は職務や役割の変化に応じて入れ替わっていくのが普通である。

 コンボイ・モデルは直感的にとらえやすい「親しさ」に基礎を置くため理解しやすく、これまでにも多くの研究の立脚点となってきた。しかしながら、他者の位置づけには変化の可能性があり、さらに、他者の位置と交流の望ましさが一致するとは限らないことに留意する必要がある。たとえば、子どもは一番内側の円に位置づけられることが多いが、重要な他者であるだけに、交流がストレスや不満の原因になることが少なくないし子どもとの仲が疎遠になることもありうる。

(a) 役割に依拠しない安定したコンボイのメンバー
(b) いくらか役割に依拠し、長期的には変化しやすいコンボイのメンバー
(c) 役割に依拠し、役割の変化に影響されるコンボイのメンバー

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