Hobbes, Thomas, 1651, Leviathan, or, The matter, forme, and power of a common-wealth ecclesiasticall and civill. London: Printed for Andrew Crooke. (=1971,永井道雄・宗片邦義訳『世界の名著23 リヴァイアサン』中央公論社.)p.155-9
もし、ふたりの者が同一の物を欲求し、それが同時に享受できないものであれば、彼らは敵となり、その目的に至る途上において、たがいに相手をほろばすか、屈服させようと努める。……以上によって明らかなことは、自分たちすべてを畏怖させるような共通の権力がないあいだは、人間は戦争と呼ばれる状態、各人の各人にたいする戦争状態にある。……このような各人の各人にたいする戦争からは、何事も不正ではないということが当然帰結される。正邪とか正義不正義の観念はそこには存在しない、……人間がまったくの自然状態におかれた際の不幸な状態にかんしては以上にとどめる。